補助金と助成金は、どちらも原則として返済の要らないお金です。混同されがちですが、実務上は決定的な違いが一つあります。

要件を満たせば原則として受けられるのが助成金、審査で選ばれた事業者だけが受けられるのが補助金です。

この違いは言葉の問題ではありません。事業計画と資金繰りをどう立てるかが変わります。

助成金:要件を満たすかどうかの世界

助成金は、あらかじめ決められた要件を満たしていることを示せば、原則として支給されます。厚生労働省が所管する雇用・人材育成系のものが代表例です。

- 従業員に特定の研修を受けさせた
- 特定の条件に該当する人を雇い入れた
- 育児や介護に関する制度を導入し、実際に利用者が出た

いずれも「やったかどうか」「該当するかどうか」で判定されます。予算の枠に達して締め切られることはありますが、企画の優劣を他社と比べられることは基本的にありません。

したがって助成金では、要件を正確に読み、証拠を残せるかが勝負になります。就業規則の整備、出勤簿や賃金台帳の保存、実施記録の作成といった、地味な事務の精度がそのまま結果になります。

補助金:選ばれるかどうかの世界

補助金は違います。公募期間があり、事業計画を提出し、審査を受け、採択された事業者だけが対象になります。経済産業省・中小企業庁が所管するものの多くがこちらです。

つまり補助金には採択率という概念があります。同じ制度でも公募の回によって、また枠によって、採択率は大きく動きます。

ここから2つの帰結が出ます。

申請に労力がかかります。 事業計画書は数十ページに及ぶこともあり、書き方が結果を左右します。公募要領には審査項目が公開されているので、そこから逆算して構成を組むのが基本です。

落ちる前提で資金計画を立てる必要があります。 採択されなければ1円も入りません。補助金が採択されることを前提に設備投資を約束してしまうと、不採択のときに身動きが取れなくなります。

名前が違っても中身は同じことがある

ややこしいのは、名称が実態と一致しないことがある点です。

- 給付金・支援金:多くは要件該当型で、実質は助成金に近い性格です。コロナ禍の各種支援金がこれにあたります。
- 交付金:国から自治体へ渡されるお金を指すことが多く、事業者が直接申請するものとは限りません。
- 自治体の制度では、審査があるのに「助成金」という名前が付いていることも珍しくありません。

判断は名前ではなく、公募要領に審査項目と採択という言葉があるかどうかで行ってください。審査があれば、実質は補助金です。

どちらにも共通すること

違いを押さえたうえで、両者に共通する点も確認しておきます。ここを見落とすと、名前の違いより大きな痛手になります。

原則として後払いです。 採択や支給決定を受けても、その時点でお金は入りません。先に自己資金や借入で支出し、報告と検査を経てから入金されます。この順序を誤解したまま動くと資金がショートします(補助金は後払い。採択されても、すぐにお金は入らない)。

受け取った後にも義務が残ります。 実績報告、財産の処分制限、事業化状況の報告など、入金後に続く手続があります。要件を達成できなかった場合や、目的外に使った場合には返還を求められることがあります。

交付決定の前に発注してはいけません。 これは補助金でとりわけ重要で、順序を誤ると、その経費が丸ごと対象外になります(交付決定の前に発注してはいけない)。

手続の全体像は公募から入金まで、補助金の手続はどう進むのかにまとめました。

まず何を見るか

自分が探しているものがどちらなのかを確かめるには、次の順で見ていくのが早道です。

1. 公募期間が区切られているか(区切られていれば補助金の可能性が高い)
2. 審査項目・加点項目の記載があるか
3. 「採択」という言葉が使われているか
4. 申請から入金までの流れが、どの段階で区切られているか

本サイトの制度一覧では、カテゴリで「補助金・助成金」「融資・貸付」「税制」を分けて絞り込めます。まずは対象地域と目的で絞り、公募中のものだけを表示するところから始めてみてください。